DDW2014 WILL Medical Congress Report


痩せ型NAFLD患者は死亡率が高い
減量手術は肝障害を減少させる
出血性潰瘍治療ガイドライン改定に際しての検討項目

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Lean Patients with Fatty Liver Disease Have Higher Mortality Rate
P. Angulo氏 (ケンタッキーメディカルセンター、米国)

痩せ型NAFLD患者は死亡率が高い

 健康的な体重であるにもかかわらず、痩せ型NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)患者は過体重・肥満のNAFLD患者に比べて全死亡率が高いことを、ケンタッキーメディカルセンターのAngulo氏が報告した。また国際研究チームの報告によると、BMI 25 kg/m2未満の痩せ型NAFLD患者は、男性、非白人で、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を有するケースが多いことも示された。
 「痩せ型患者と過体重・肥満患者の比較により、体重にとどまらないNAFLDのリスク因子に関する手がかりが得られた。正常体重の患者は脂肪肝にならない、と考えるべきではない」とAngulo氏は警鐘を鳴らす。
 本検討では、この種のレトロスペクティブな研究としては初めて、多数例の痩せ型NAFLD患者の詳細な背景因子が明らかにされた。本研究は20年余にわたる1,000例の、肝生検で確認されたNAFLDの臨床検査データを対象とした。平均BMIは痩せ型群で23 kg/m2、過体重・肥満群では33 kg/m2 であった。痩せ型群は有意にインスリン耐性例が少なく、肝障害と相関するALT値が低かった。さらに痩せ型群は、肝脂肪の蓄積の度合い、線維化の進展度がいずれも低いにも関わらず、肝の炎症レベルはより重度であった。
 全1,090例中、2005年までに肝生検が実施されていた483例のサブグループにおける死亡率は、過体重・肥満の451例中62例(14%)に対し、痩せ型では32例中9例(28%)であった。死亡原因に群間差は見られなかった。
 「米国では人口の30%がNAFLDを有しており、その割合は増加しつつある。我々は脂肪肝を肥満との関連においてのみとらえがちだが、痩せ型患者でのNAFLDに続発する肝疾患の兆候に十分な注意を払うべきであることが示唆された」とAngulo氏は指摘する。
 今後、痩せ型NAFLD患者において、脂肪分布や細胞伝達蛋白(サイトカイン、アディポネクチン等)の差異などBMI以外の因子についても解析が進められる予定である。
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Weight-Loss Surgery Can Reduce Liver Damage
M. Murr氏(南フロリダ大学タンパ総合病院/USF健康減量センター、米国)

減量手術は肝障害を減少させる

 減量手術(bariatric surgery)は相当量の体重を減らす手段としてよく知られているが、NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)の改善にも有効である。南フロリダ大学タンパ総合病院/USF健康減量センターのMurr氏は、減量手術により、肝臓の炎症が消失し、初期段階の肝線維化や肝組織の肥厚・瘢痕を改善したことを明らかにした。
 「米国人の30%を占めるNAFLD患者の半数以上は重度肥満である。本研究の結果から、重度肥満NAFLD患者に対する治療選択肢として減量手術を考慮すべきであることが示唆される」とMurr氏は指摘した。
 Murr氏らは、BMI 35 kg/m2以上で肥満関連の合併症を有する患者、またはBMI 40 kg/m2以上の患者では薬物療法などの従来治療の成功率は低く、減量手術を考慮すべきであるとしている。
 本研究では減量手術を施行した152例の、手術施行前と施行29ヵ月後における肝生検結果を比較した。術前生検では、NAFLDの細胞レベルでの兆候、特に脂肪の蓄積と肝の炎症が確認された。このような肝障害は、致死的となり得る肝線維化や肝硬変をもたらす可能性がある。術後生検では、患者の70%で肝脂肪の蓄積が消失し、炎症が改善していた。内訳では、小葉炎症例の74%、慢性門脈炎症例の32%、脂肪性肝炎例の88%で炎症の消失が認められた。
 さらに、ステージ2の肝線維化患者の62%で線維化の改善ないし消失が認められ、肝硬変患者の3人に1人で改善が認められた。このような線維化の改善は、線維化が初期段階の患者においてのみで示され、末期の患者では認められなかった。Murr氏は「NAFLD患者の増加をもたらす肥満は増加の途上にある。肥満と戦う手段である減量手術は、さまざまな肝疾患の増加の予防にも寄与する可能性がある」と述べた。
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Study Points to Potential Revision of Treatment Guidelines for Bleeding Ulcers
H. Sachar氏(イェール大学医学大学院、米国)

出血性潰瘍治療ガイドライン改定に際しての検討項目

 内視鏡治療を受けた出血性潰瘍患者に対する現在の標準治療に代わる、同等の安全性を有し、安価で、かつ患者が安心できる代替療法が求められている。本研究では、現在推奨されている初期用量PPI投与とそれに続く維持用量PPI投与(従来治療)と、PPI間欠投与のみとする治療を比較し、両治療レジメンが同等の効果をもたらすことを示した。試験を実施したイェール大学医学大学院のSachar氏は、「PPI間欠投与は従来治療に比べて少ない医療資源と費用で済み、今回得られた知見は重要である。間欠投与が新たな標準治療となれば、少ない費用で従来と同等の質の高い治療を患者に提供できるようになる」と述べた。
 出血性潰瘍治療の第一段階は内視鏡検査であり、これにより医師は直接潰瘍出血を可視化でき、同時に治療できるケースもある。PPI療法は胃酸の産生抑制と、血栓形成と安定化を促進することで内視鏡治療を補完する。
 2つのPPIレジメンの比較のため、出血性潰瘍の高リスク所見の管理のために内視鏡治療を受け成功した1691例を対象とした13試験をレビューした。その結果、PPI間欠投与における再出血、死亡、手術・輸血の増加・入院期間の延長などの緊急介入の必要は、従来のPPI治療とほぼ同様であった。
 現在のガイドラインの下では、患者はPPI初期用量および維持用量を、72時間にわたって継続的に静脈投与される。この方法は、看護および薬剤管理のため著しい注意を要する静注装備を使用することとなり、また薬剤投与中は患者の動作にも制約をもたらす。これに対しPPI間欠投与は、経口、静注のいずれも可能で、間欠投与であるため常時注入装置に繋がれることなく、看護および薬剤管理の看視の必要性は大いに軽減できる。
 「PPI間欠投与を治療選択肢として採用することで、費用が軽減できるだけでなく、患者がPPI投与を受けるため、3日間にわたり動きを制限されるということがなくなる」とSachar氏は述べた。
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